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もう少しだけ

「もう少しだけ」

・駿(シュン)・・・高校3年生。東京の美大に進学が決まっている。
・徹(トオル)・・・駿の幼馴染。駿と同じ大学を受けようとセンター試験を受けたが試験当日に父が交通事故で他界。就職へと進路を切り替える。
・ナレーター

配役表
駿(男)
徹(男)
ナレーター(男女)


駿「綺麗な絵を描こうとしても思い通りにいかないんだよね。」

ナ「画材を片付けながらやや乱雑に描(えが)かれたキャンパスを見つめ、駿が小さく呟く。」

駿「頭の中で『こう描きたい』って思っても、いざキャンパスを目の前にすると頭の中まで真っ白。」

徹「・・・厭味(いやみ)にしか聞こえないね。出す作品出す作品入賞してるくせに。」

駿「イメージ通りにならなくても、作品っていうのは完成される。たとえ意のままに手が動かなくても。」

徹「俺は脳内で出来た物を忠実に再現してるのに入賞すらしないってどういう事だよ・・・。」

ナ「駿は困ったようににこりと笑うと鞄を肩からかけて立ち上がった」

駿「バス、次の逃したら1時間は来ないからもう帰るけど・・・徹は?」

徹「ん、俺も一緒に帰るよ。片付けるからちょっと待って。」

駿「うん・・・な、徹。」

ナ「茶色のチェックがかったマフラーを首に巻いて、落ち始めた夕日を見つめながら駿が口を開いた」

徹「ん?」

駿「まだ、二次募集間に合うから一緒に美大行こう?きっと亡くなったお父さんだってそう思ってるはずだよ。」

徹「・・・父さんがどう思ってたかは俺には分からないけど、母さんだけ働かせるって事は出来ないからね。うし、帰ろっか」

駿「・・・・・・。」


駿「良かった、まだ5分余裕あるね。座って待とう?」

ナ「待合所のベンチに駿が座ると当然のように隣をぽんぽんと叩いて徹を見上げる。」

駿「じゃあ、俺は上京しちゃうのに徹はここに残るんだね・・・。」

ナ「伏し目がちに駿が言うと膝上に乗せていた鞄をぎゅっと抱きしめた。」

徹「九州と東京じゃあ・・・年末年始くらいしか帰ってこないのか?」

駿「多分、そうなるかな。絵に没頭しちゃって気づいたら年明けてたとかありそう。」

徹「保育園からずっと一緒だったのにな・・・何年だっけ?・・・15年は一緒だったんだな。」

駿「そんなに毎日一緒だったんだ!なんだか家族以上みたいだね・・・あ、来た来た。一番後ろ乗ろう?」

ナ「早く乗って好きな席に座りたいらしいが、そんな事をしなくても乗ったは10に満たなかった。」

駿「このバスに乗って学校通うのももうあと何回かなんだよね・・・。」

徹「うん・・・あ、右の方貸して。俺も聞きたい。」

駿「これ、ちょっと切ない曲だよね。これイメージして絵描きたいかも。」

徹「・・・駿。」

ナ「白くなった窓を指先で遊んでいた駿が振り向いた。」

駿「ん?・・・っ、・・・」

徹「・・・ごめん、駿が遠く行きそうで怖くて・・・気づいたら・・・」

駿「・・・・・・いいよ。誰も見てないし・・・」


徹「(その後、きっと数えたら5分もなかったんだろうけど、俺たちにとっては1時間以上に感じるほど、唇を重ね合っていた。)」

駿「・・・俺さ、気づいてたんだ。徹が俺の事好きだって・・・だって俺たち、どんなに彼女が出来そうな時でもお互いを選んでたじゃん。いつも一緒に居たいって思ってた・・・俺も、好きだって思った。」

徹「本当は・・・一緒の大学受かったら告白しようと思ってた。」

駿「いつ告白してくれるんだろうって思ってた。もしかしたらしてくれないのかなって。」

徹「今両思いになっても離れ離れになるの、分かってるのにな・・・。」

駿「・・・この15年間、ずっと一緒だったんだよ?大丈夫。何があっても俺が徹を守るから。」

徹「・・・ちょっとクサい。でも・・・ありがとう。俺が言わなきゃいけない言葉なのにな・・・。」

駿「あ、着いた・・・じゃ、降りるね。また・・・明日。」

徹「ん、また・・・明日。」




ナ「バスから降りた駿は、呆けた顔のまま5・6歩歩くがその場に座り込んで溢れる涙を懸命に抑えていた。」

駿「・・・、っ・・・ぅ、く・・・やだよ、寂しいよ・・・」

徹「はぁ・・・っ、ごめ、俺も降りちゃった」

駿「っ!?な、馬鹿!1時間も待ってなきゃいけないのに・・・」

徹「駿が泣きそうな顔してるの分かったから。おばさん、俺の分のご飯作ってくれるかな?」

駿「・・・ちゃんと家に連絡入れといてね。」

徹「ん。もうメールしといたから・・・これからの事、二人でちゃんと話そう?」

駿「あーもう。徹に泣き顔見られちゃった・・・。」

徹「いいよ。これからもずっと見ていくんだから。」

駿「馬鹿・・・。」


END
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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